延べ竿で釣られたコブダイ72cm

延べ竿一本で瀬戸内の剛力、70cmオーバーのコブダイに挑む

防波堤に潜む巨大怪魚

 コブダイはカンダイとも呼ばれ、鯛の名は付くものの分類学的にはベラの仲間。最大で1m近くになるとされているが比較的防波堤でも良く見られ、特に瀬戸内海は生息数が多く最近はジギングロッド等で70cmオーバーも獲られるようになってきた。70cmオーバーともなれば重さも7~8kg~になり、その引きは凄まじいものがあるという。防波堤から釣れる魚としては、サメやエイの類を除けば最大級の魚の一つだ。この魚は回遊魚等とは異なり足元付近に居着いていることが多い。ならば、延べ竿でも獲れるのでは?ショアからの海での延べ竿大物釣りの一つの頂点となり得るこの魚に、是非挑戦してみたい…そう考えたのがこの釣行のきっかけだった。

 しかし調べれば調べるほど大型の引きは相当なものであることが分かり使われるラインもモノフィラメントなら10号以上といったものが多く、少々不安がよぎる。しかし昨今のサケ釣り用本流竿の強靭化は凄まじく、キングサーモンロッドや荒川のアニキに対抗できるような竿ならばいけるのではないか…?そんな淡い期待とともに一昨年の春向かったのは淡路島。足元で水深が10m以上あるような実績の高いポイントで落とし込み釣りの要領でRUDOW8500を構え続けた。しかしその時は2日間釣りをしたものの全くアタリは無く、空振りに終わった。今回、2017年はその雪辱を果たすためにコブダイのベストシーズンであるという1月に釣行。釣り場は淡路島ではなく本州側に釣り座を構えた。

コマセを撒きながらの脈釣り

延べ竿でのコブダイ釣り

 今回用意したタックルは、超大物用本流竿エア・ゴライアス8400の最終プロトタイプ(製品版と仕様は同一)、ラインはナイロン7号通しで9.5m(今回の足場は水面から1.5~2m程度であったのでとりあえず手尻1m強としたが、もっと足場が高い場合はさらに手尻を出す必要があろう)、目印2個、ガンダマ3B×6個(針から40~50cm程度)、針は伊勢尼の管付、結束はユニノット(最悪切られる時にはここから切られてほしい為)、餌はエビ。これにオキアミ3kg、チヌ・グレ用撒き餌1袋、その他余り物のダンゴ餌などを混ぜたコマセを用意。前回の初戦では落とし込み的に撒き餌はせずにアサリで探りながら釣りをしたが全くの不発だったので、今回は事前学習の結果寄せて釣りウキフカセ的釣り方を行う事に。といってもウキは使わず脈釣りなのであるが。釣り場は瀬戸内海に面しまずまず潮通しが良いという場所だが、実際到着すると既に釣り人が多く竿を出しており入るスペースがあまり無い。足元の釣りとはいえ、数十メートル範囲を撒き餌して寄せて来る作戦だったのがそんなスペースは無く結局左右5mほどの範囲に撒き餌をし続けることに。保険としてBUDDYカープロッドを用いた足元ブッコミ仕掛けをセットし、いざ延べ竿でも釣りを開始。釣り始めると水深がさほどないことに気付く。5~6mくらいか。コブダイ、特に大型のコブダイ狙いとしては少し浅い様に感じる。不安がよぎる…。この日は大潮だが日中はあまり潮位差はなくさほど流れも無い。若干西側に流されるが、時間帯によって止まったり少し逆になったりもしている。普段川で脈釣りをしている身にはこの流れはかなり緩く感じる。一方で太い糸、海水の比重、水深のせいか着底は正直かなり分かりにくい。慎重にラインを張りながら落として行き底から数十センチ切ったアタリをキープして宙吊りの様な形でアタリを待つ。本当ならばゆっくりでも流して行きたいのだが西側には釣り人が入っており流しはやりにくい。従って宙吊りのままただただコマセを撒き待つ釣り。幸い、欄干がある為竿を少し置きながら釣れるのは楽なところ。

いきなりのヒット

72cmの巨大コブダイと延べ竿

 水深も思っていたよりも浅いし、周りもなにも釣れておらず魚っ気がない。これはだめかと諦めていたところいきなり竿先が絞り込まれた。アタリも何もあったものでなく本当にいきなりである。とにかく最初のスタートダッシュさえ乗り切って浮かせれば勝ちという事なのでとにかく耐える。ただただ耐える。8号~最大10号程度まで張れるエア・ゴライアスなので竿の力を信じるが、川の釣りとは違い真下、さらに手前の足元に引き込まれ竿が余り良くない曲がり方をする。つまり竿を立てないと根に入られるが竿を立てるとライン角が鋭角になり先端部が危ない状態になるのだ。しかしとにかく経験したことの無いような引きが何度も襲ってくる、そして横走り…隣の釣り人の所まで引きずられる…なんとか止めるが中層からもなかなか浮いてこない。竿の角度が心配だが見る余裕も無くとにかく浮くのを信じて耐えていると、プカーと赤黒い巨体が水面に姿を現した。その額には立派なコブ。ギャラリーがどよめく。想像以上にでかかった。

ここから用意していたタモが浅くタモ入れに難儀したが周りの釣り人にも協力頂きなんとかネットイン。上がって来たのは72cmのオスのコブダイであった。

まさかの連続ヒット

本流竿でコブダイ釣り

 1匹目で目標としていた70cmオーバーを釣ることができ、もうすでに満足感もあったがまだまだ時間も餌も余っていたため釣りを再開。とはいえあれだけのファイトをした後だから早々次は来ないだろう、来てもメスではないかと踏んで竿を同行者に預けていたがその竿が曲がっている。ネガカリか魚が掛かっているか分からないとのこと…ネガカリじゃないのと竿を持ってみるとかすかにクイクイと引きを感じる。再開後10分ほどでまた釣れていたのだ。だがこれは完全に根に入られている。聞けば手前の足元には捨て石があるというから厄介だ。テンションを掛け続けるが全く出てこない。竿の力を信じ思いっきり曲げ続ける。コブダイはラインを緩めるよりも引き続ける方が良いというから頑張ってみたのだが結局7号ラインが針付近で切れて尻餅をついた。これも大きかったに違いない。

3回目のアタリ

コブダイ65cmと本流竿

 昼食を経てアタリが無い時間が続く。さすがに3回目はないのかと半ばあきらめていたが、ククッとアタリがあったかと思うと一気に引き込まれた。今度はそんなに大きくないのでは、等と勝手に油断しているとどんどん引き込まれまた横走り。欄干に体を押し付けとにかく耐える。運動会の綱引きでもこんなに頑張ったことはない。なんとか止まったがまた浮いてくるまでにも抵抗がある。今回は竿の曲がりを見ながら注意してやりとりする。

 そして浮いて来たのは鮮やかな赤色のこれまたしっかりコブのあるオス。一目で一回り小さいなとは分かったがそれでも65cmあった。ファイト時間は1匹目より短く済んだが最初の突っ込みは同じくらいの強さがあった。パワフルなファイターである。

延べ竿でのコブダイ釣り、まとめ

 今回は72cmと65cmの2匹のコブダイを釣ることができ、初戦の淡路島釣行の雪辱を果たすことができた。ポイントはやはりコマセでしっかり寄せることと、この寒い時期、餌取りが少なく(とはいえ今回もエビの身だけ綺麗にとられることが多かったが)しっかり待ちながら釣れることがポイントのように感じた。延べ竿でコブダイを狙おうなどと考える人はあまりいないかもしれないが、参考までに今回感じたポイントをまとめておく。

・この釣りはいずれにしてもラインを出さずに根からコブダイを剥がすことが大切なので、或る意味糸が出ない延べ竿の釣りは向いている、ただし竿はエア・ゴライアスのようにサケ釣り用の竿の中でもかなり強い竿や、キングサーモン用クラスの竿が望ましい

・ラインは引っ張り合いでは7号ラインでも切れないと思うが根がきつい場所や根に入られた時などは10号以上あればベストだろう、フロロは強いし沈ませやすいが延べ竿では伸縮性が無くなり少し不安、よって今回もナイロンとした

・アタリというよりも一気に引き込まれるのであわせる余裕がないことが多い。今回どちらも針はカンヌキではなく顎の内側にやや浅目にかかっていた。針のサイズが小さかったせいもあろうが余裕があればしっかりあわせた方が良いだろう

・コブダイの歯の先は丸いのでここでハリス切れはあまり起きそうにない

・真下方向に引っ張られる釣りとなりサケ釣りとは全く竿にかかる負担が異なる。竿を立てすぎれば魚が足元側へ来た時に穂先が折れやすくなるが、或る程度浮かせていかないとまた根に入られる。サケ釣り用本流竿は先端部が軟らかめで全体に胴調子のため最初の一撃をかわすのは良いがこういった縦の釣りでは後半の寄せ時に先端部分の破損の恐れが付きまとう。したがってエア・ゴライアスのように全体に十分なパワーのあるキングサーモンロッドに近いクラスのロッドを選んだ上で、竿の立てすぎには注意したい。

・エビは大きくても一のみにされるようだ

・今回の釣り場は敢えて欄干のある場所を選んだ。理由は引きずり込まれないため。磯竿での釣りでも引きずり込まれる危険性が指摘されている釣りである。延べ竿なら尚更である。欄干の無い場所なら竿の長さを活かし2歩、3歩下がって、さらにできれば自分にロープを付けておいて釣りをすべきだろう。

・今回BUDDYのブッコミ釣りには一切アタリが無かった。おそらく餌の状態がブッコミでは不自然なのあろう。またポイントも足元の際では釣れず全て竿先の真下のラインで釣れた。通常際が良いとされているが釣り場にもよるものと思われる。

・一旦水面に浮くとコブダイは殆ど抵抗しない。とにかく最初の1~2分が勝負。陸に揚げてもおとなしく、カープマットの上でじっと横たわっていた。

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