曲げこむ度合いは竿の調子次第

 竿をどの程度曲げるべきなのか、あるいは立てるべきなのかということは、竿の調子によってその適切な解は変わって来ます。

 

 本流竿は通常胴調子です。しかも、相当の胴調子です。更に、長さがあります。よって、竿を満月のように曲げても折れないわけで、逆にこれくらい曲げないとロッドパワーを最大限出す事は出来ません。ですので、通常本流竿ではグリップエンドを魚に向けて、竿のバットは後方を指し示すまでに曲げこんで、円弧を作りだすのが一般的です。

 

 無論、限界はあります。自分で竿の曲がりが見えなくなるほどに竿を立てて曲げてしまうと、それはもはや曲げ過ぎで、破損の危険があります。この辺りの限界点は、竿によっても異なりますので、実戦で感覚を養うしかないのではないでしょうか。

 

 一方、先調子の竿の場合、胴調子の竿と同じように曲げこむことは必ずしも得策ではありません。先調子の竿を胴調子の竿のように曲げこもうとしても、バットが硬過ぎで思うように曲がらないばかりか、結果穂持ちなどに過度な負荷がかかって折れるだけです。先調子の竿は、立てすぎない、曲げ過ぎないということです。基本的に、竿を立てる限度は90度くらいまで(ここでは仮に竿をまっすぐ立ててやり取りするとしての角度を言います)で、グリップエンドを魚に向けるところまでいかない程度です。よって先調子竿は「応援団釣法」にも向いています。これが通常の胴調子本流竿だと120度とかあるいはそれ以上曲げこむこともあるわけで、グリップエンドは文字通り魚の方向を向くことになります。

 

 先調子の竿が曲げ過ぎに向いていないのは、胴調子のようにどんどん曲げればそれだけ曲がりが下へ伝わり漸進的に曲がって行くというものではないからです。先調子の竿はちょっとやそっとの力では曲げられない硬いバットがあります。単純に竿を絞って行くだけではこのバットの前で曲がりがストップします。硬すぎるバットを曲げるにはどうすべきか。それは、ロッドとラインの角度を鈍角気味にしてやることです。ここでのポイントは、この鈍角気味の状態ではラインに相当の負荷がかかるので太糸を使用すべきだということです。硬いバットを狙い撃ちで曲げるには、しっかりしたラインで鈍角気味にし穂先や穂持ちはラインと同化させた上でバットのいくばくかの曲がりを生み出す事です。ここで胴調子竿のような満月の曲がりを期待することは得策ではありません。先調子竿の硬いバットはそもそも曲がりにくいが故に幾許かの曲がりでも十分な力を発揮します。

 

 結論的には、そもそもの話として胴調子竿は曲がりが深く先調子竿は曲がりが浅い傾向になることはお分かり頂けると思います。相応に、前者は曲げこみを深くする必要があり、後者はその逆です。これはどちらがいいというものでもありません。前者は曲がりが深い分譲歩するときの譲歩幅が大きくなり、クッション性が高いため細糸を扱えます。また、曲がりの起点がアングラー寄りになり、てこの原理が働きにくくなり魚の引きを必要以上に大きく感じさせることがありません。一方、デメリットとしては高いクッション性は裏を返せば魚に走られる機会を与えやすく、それを回避するには常に先手を取って大きく曲げこむ必要があります。後者は曲がりが浅いので譲歩幅が少なく、硬いバットの力でも抑えられない大物が走りだすと対応に苦慮します。その分も含めて太糸が有効です。クッション性も低めですのでやはり太糸が望ましくなります。一方、譲歩幅が少ないというのは猶予が少ない、つまり魚に走りだすチャンスを与えにくいということです。しっかりしたタックルで臨めば短期決戦で大物を仕留めることが可能です。ただし竿の曲がりの起点が遠くなる為てこの原理で釣り人への負荷は大きくなり、魚の引きが実際以上に大きく感じられ易くなってしまいますので超大物狙いには不向きです。

戻る
次へ


本流釣り入門 その他のコンテンツ