やり取りの「癖」について

 伊豆半島に移転して早3か月が経ちました。ただ感覚としては「まだ」3か月かといったところです。もっと経っているように感じられるのは、この3か月がかなり忙しく様々なことがありすぎたからに他ならないでしょう。

 さて至極個人的な話、今年は移転で忙しく釣りからかなり離れておりました。

具体的には1月から5月まではほぼ何も釣っていない状況でした。6月から再開しましたがここ伊豆半島は当然海釣りがメインとならざるを得ない地理ですので、以前は川時々海、だったのが今や海オンリーになりました。

 以前は海に出るのに2時間、といったところに住んでいましたので海釣りといえば夏~秋のよく釣れる時期に週一行くか行かないかといったところでしたがここではやる気と時間さえあれば毎日でも行けなくはない近さです。

 さて、海釣りと川釣りの違い、いろいろありますが今回はやり取りの仕方について少し考えることがあり書いてみたいと思います。

サーフの釣りならいざ知らず、東伊豆は磯場がメインなので足場が高いのですが、そうすると必然的に例えば本流釣り(これ、川のですよ、私にとって「本流釣り」=渓流の本流釣りでしたが磯釣りファンには別の意味になってしまいますね)のような水平のやり取りとは真逆の垂直のやり取りをせざるを得ない場面が多くあります。

正直なところ、私は目線が水面に近いほうがやり取りは絶対にスリリングで楽しいという考えで、したがって立ちこんでの本流釣り、ボートでのヘラやカヤックの釣りなどは好みなのですが(後者2者は経験なしですが)、まあ磯場は概して足場が高いですしこれはしょうがないとあきらめています。ただ目線が高いので魚が表層に来るとよく見え、別の楽しさはあったりもしますが。

 垂直の釣りは竿を立てすぎるとだめですし、岩場が多く根に走りやすいのでがっつり止めてやらないといけない場面も多くあります。ただ頭ではわかっていても、どうも以前の水平の釣りの「癖」が抜けない部分があります。魚が足元に来ていると、水平の釣りではほぼフィニッシュに近いですから竿は自然とかなり立てるものですが垂直の釣りでは足元に来てからの突込みが多いので、また竿とラインの角度からしても近場に来れば来るほど竿は立てるべきではありません。

 さらに悪いことに、磯場では結構遠投が必要な場面が多いので、本当はセンターピンでやろうかというところを、「うーん、飛ばないし今日はスピニングでいいか」と自堕落にスピニングに走っていると、どうもやり取りが下手になった気がしてなりません。根に走られ切られたり、針はずれが多くなったり…以前はどんな釣りでもセンターピンを使っていたのですが、こういったことは少なかったのですが…。

 ここでセンターピンでのやり取りとスピニングでのやり取りの違いを再考してみますと、前者はいわゆるレバーブレーキ付きのスピニングと同じようなもので、いざというときにさっとラインが出せます。さらにドラグ調整も自分の指一つです。そして泳がせやデッドベイトでも飲ませるような釣りの場合(私は海釣りはほぼこれらの釣りしかしません、理由は最もシンプルなリグ、多くは針と糸だけでなおかつ最も大物がつれやすく延べ竿の釣りに近い感覚があるためです)、アタリがあってからシームレスに走らせることができます。スピニングでもベイトランナーならこの点はクリアできますが、たとえリアドラグのスピニングでもやり取りの最中のドラグ調整は「指ドラグ」にはかないません。

 まあ私がスピニングの使い方が下手なのでしょうが、どうしてもやり取りの最中に一気に絞り込まれた時のことを考えドラグをやや緩めに設定しがちなのです。そうするとなんだかんだで底に入られ根ずれで切られる、ということが多い気がします。

 本当に個人的な感覚の話ですが、私はやり取りでは「これは延べ竿だ」と思ってのやり取りをした時が最もうまくやり取りができているように感じます。延べ竿だと思えば、ラインは基本出さない、となれば常に先手を打ち体も柔軟に動かし竿の曲がりをしっかり生かす動きを自然と行えるような気がするのです。これがリール付きだと思うとどうしてもまあ走られてもラインは出せると余裕をかまし、そのうちに相手が有利になると。

 無論青物など最初は走らせたほうが良いもの、というよりも走らせざるを得ないものも海には多くいますが、そのあとはやはり「これは延べ竿」と思ってやり取りをしたほうが良い気がします。

 私もセンターピンを使い始めたころはラインがいくらでも出せるので特にオープンスペースでは好きなだけ走らせてから巻いてくるといったやり取り、いや、これはやり取りとは言えませんが、こういう釣り方をしていた時もありました。しかし明らかに延べ竿よりもキャッチ率が悪かったので、考えを改め、やり取りでは本当に伸されそうなとき以外はラインを出さない、竿尻を握り、本流竿の感覚でフロートロッドを曲げてやり取りをするようにすると格段にバラシが減り延べ竿以上に獲れるようになりました。せっかくよい「癖」がついていたのにリールをスピニングに変えたことでどうもその「癖」が抜けてしまったように感じました。

 よい癖は簡単に抜け悪い癖はなかなか抜けない、といったところでしょうか…。少し初心に帰り、またセンターピンでよい癖を戻したいと思います。

 

                                     文責 Y