センターピンリールの手入れについて(主にヴィンテージ品)

 かなり久しぶりですが、今回はセンターピンリールの手入れについて少し書かせていただきたいと思います。

LEELではJWヤングなどのヴィンテージセンターピンを多く扱っておりますが、これらのメンテナンス方法について、一度まとめてみたいと思います。

 まず、原則的にLEELで販売しているヴィンテージセンターピンは清掃、注油等を施してありますので、基本的にはそのままでお使いいただけます。しかし、もし個人的に英国などでセンターピンを購入された場合は、多くの場合清掃や注油が必要なケースが多いです。

 では、具体的にはどうするのか。例として、JWヤングのラピデックストゥルーデックスを見てみましょう。この手のリールは、センターキャップ(リール表面の黒いキャップ)のレバーを引きながらスプールを持ち上げることでスプールが外れるクイックリリース式になっています。エアリアルではスポーク(車輪の軸のような部分)上にあるレバーをスライドさせながらスプールを持ち上げます。現行のJWヤングのオープンスポークタイプのリールも同様です。これに比べ、OKUMAなどの北米のリールは単純にセンターのノブを外すことでスプールを外せるようになっている場合が多いです。

とにもかくにも、まずはスプールを外すことからすべては始まります。

 スプールを外したら、掃除を始めます。完璧性ならびに即効性を求めるならばボディ、スプール共に水没させて水洗いするのも手です。しっかり乾燥させれば、後々問題になることは少ないでしょう。しかし、濡れたティッシュなどで拭いていくほうが、いろいろな意味で安全ではあります。ヴィンテージセンターピンについては、塗装はげなどもすでに多い場合が多く、基本的には、後者をお勧めします。

 クリッカーのノブや、リールフットなど、外せる場合は外して掃除します。そして最も重要なのは、センターキャップ(リール表面の黒いキャップ)内の掃除です。

 ラピデックスやトゥルーデックスでは、センターに3つのネジがあります。真中のネジは回転度合いを調整するネジで、これはいくら回してもセンターキャップは外れませんし、この真中のネジは後述しますが非常に繊細なので現状の回転度合いに満足している場合は決して触らないようにしてください。このネジはエアリアルや現行のJWヤングのリールでも存在し、同様の働きをしています。

センターキャップを外すには真中のネジではなくそれ以外の2つのネジを外します。するとレバーと、リリースレバースプリングが現れます。これを外して掃除をします。大抵ここに土や埃がたまっており、回転を悪くしている場合が多いです。注意点としては、特にスプリングは外す際飛んでしまって紛失しがちなので細心の注意を払ってください。最悪紛失された場合は、英国のミルタックルというJWヤングリールの修理などをしているメーカーでこのスプリングは販売しているようですが、日本へ発送してくれるかどうかは不明です。

 さて、センターキャップ内の掃除が終われば元に戻しますが、微妙なずれ、ネジの締め具合などで回転性能ががたんと落ちることがあります。また、元々の回転性能に満足していない場合もあるでしょう。そのような場合、先述の真中のネジを調整します。これは、リールの回転軸の真上に来るネジで、きつく締めるとこのネジが回転軸に押さえつけられ、スプールを回りにくくします。逆に緩めすぎるとスプールが適度に浮かず、ボディ側に落ちて接触し、摩擦でこれまた回りにくくなります。要するに、このネジを適度に締めることで最も良い回転具合を実現できるのですが、その「適度」が個体によってさまざまなので、少しずつ締め具合を変えていきながら回転の具合を見ていくしかありません。一度良い調子になれば、あとは決していじらないことです。本当にこのネジの調整は微妙なバランスの上に成り立っており、全然回らないと思っていたジャンクリールも、調整してやると1分近く回るようなこともあります。

 さて、清掃、真中のネジの調整が終われば、あとは注油ですが、これはミシンオイルを軸に1,2滴たらし、スプールをセットし、慣らし回転をさせれば完了です。オイルは多く垂らしすぎると逆に回転が悪くなりますので1,2滴で十分です。あとはクリッカーなどの錆防止にも少しオイルを塗っておいてもよいでしょう。本来グリスですが、オイルでも問題ないと思います。

 最後に回転度合いをチェックします。ヴィンテージセンターピンの場合、ベアリングは入っていない場合が多いので、現行モデルのように1分以上回り続けるようなレベルにまでもっていくのは難しいケースが多く、基本的には30秒回れば十分です。実釣ではこれでも回りすぎの場合が多く、結局指でドラグを掛けるので、回転性能が求められるのはwallis castを行う時くらいでしょう、しかしこれも30秒回るレベルで十分です。

 本来、センターピンの回転性能は回転持続時間ではなくいかに軽い力で回り始めるかで決まるので、そもそも回転持続時間を競うことは意味がありませんが、便宜的に何分回る、というのが海外でもよく語られる指標になっています。慣性の法則により、スプールが重ければ回転時間は伸びますが、これは良いセンターピンとは真逆なのは明らかです。本当に良いセンターピンは、スプールが軽く、回りだしが軽いものです。

 同じ30秒回るリールも、最初の勢いが凄いわりに途中から失速してあっけなく止まるパターンと、最初の勢いはさほどではないが後半に伸びてなかなか止まらないパターンがあります。もちろん、良いのは後者です。最後の伸びがいまいちだなと感じた場合、そのリールはまだチューニングの余地があるか、どうしようもないリールかのどちらかです。

 また、回転度合いは、同じリールでも昨日と今日で違います。なぜなら、微妙な付着した油の粘度、リールを持っているときの水平度合い、回すときの力の微妙な差、ちょっとしたことで10秒、20秒変わってきます。センターピンは長時間使わないと明らかに回転性能が落ちますが、何度か使って慣らし回転をしてやるとまた復活します。微妙な回転軸のバランス、摩擦の変化などがあるのでしょう。したがってLEELの各リールのページで参考に回転持続時間を記載しているモデルもありますが、すべて入荷段階の清掃、注油後の状態での計測ですので、お手元に届いた際には良くも悪くも変動があります。しかし、一度は確実にそれだけ回っていたリールですので、また注油したり、慣らし回転をしていく中で同じだけのパフォーマンスを出してくれる確率は限りなく高いと言えます。

 新品のセンターピンリールはこういったチューニングを特にせずとも当面は何の心配もなくお使いいただけるので気が楽ですが、10秒しか回らなかったヴィンテージセンターピンを綺麗にしてやることで1分回ったときの喜びもまた、なかなか良いものあり、リールへの愛着が湧くものです。