広がり行くセンターピンリールの世界

センターピンリールの流し釣り概論

 センターピンリールの流し釣り、トロッティング、ドリフトフィッシングと呼ばれるものは、欧州とりわけ英国では長い歴史を誇る伝統的な釣りだが日本ではその実態が未だにあまり認知されていない。ここでは概論と称しこの釣りの概説を行いたい。

人力ドラグは意外と力がある
人力ドラグは意外と力がある

 センターピンリールとは、クロダイの落とし込みリールによく似た、非常に回転性能の高い片軸リールである。フライリールとも良く似ているが、ドラグは一切有しない。 この手のリールの特徴として、スプールフリーで糸を送り出す事が出来る、構造上糸撚れなどが起きにくい、シンプルだから故障しにくいといったことに加えて、 ドラグがないが故にパーミングで人力ドラグを任意に効かせられるので、釣り人の腕次第ではドラグ調整がしにくい他のリールに比べて魚とのやり取りを優位に、かつ面白く行うことができるという点があげられる。

 英国ではコースフィッシングと言われる雑魚釣りに於いて、このセンターピンリールを用いた、下流域でのフカセ流し釣りが古くからおこなわれてき た。 最近では、カナダやアメリカでスチールヘッドを釣るためにこのリールを用いたダウンストリームの流し釣り、ドリフトフィッシングやフロートフィッシングと 呼ばれる ものが流行している。コースフィッシングでの小物釣りはともかく、かの強烈な引きを誇るスチールヘッドですら、ノンドラグのセンターピンで十分に獲れるこ とに人力ドラグの威力を垣間見ることが出来るだろう。

 センターピンリールを用いた釣りの最大の特徴は、何といってもテンションをかけながら仕掛けを自由に流す事が出来ると いう点であろう。 私たちが通常行う釣りは、遠くに投げて、こちらへ引いてくるというモデルを逸することは殆どないだろう。ルアーやフライのように、意図的に動かし、アク ションを与える釣りに於いて このモデルは合理的かつ唯一の方法であろうが、こと、餌を流れに乗せて釣るということを考えた時、この「引き釣り」モデルは決して自然な方法ではないこと は明白だ。

 センターピンを用いる流し釣りは、川の流れや海の潮の流れに、餌や仕掛けを乗せてどんどん糸を送り出していく釣り方である。遠投して引いてくる通常の釣り方とは全く 逆の考えで あり、故に、センターピンを用いて遠投することはないし、そもそもこのリールで遠投は出来ないといってよい。 もちろん、wallisキャストやオーバーヘッドの遠投方法がこのリールにも存在はするが、スピニングリールの飛距離に比べれば劣勢なのは火を見るより明 らかである。

 センターピンは、川の下流に向けて、あるいは海で潮の流れに乗せてその進行方向に向けて仕掛けを緩めず張らずのテンションで流す事が出来る。 これをスピニングリールやベイトリールで行うことはほとんど不可能だ ろう。まず、スピニングではベールをオープンにし、フェザリングの要領で糸を送り出すことになるだろう が、これはセンターピンの無抵抗な回転による送り出しに比べればあまりにぎこちないし、瞬時の合わせにも不適である。 ベイトリールはフリースプールにすることで或る程度センターピンに似た状況を作り出せるが、よほど大きなウキと水流がない限り、スムーズに仕掛けは流れて くれないだろう。 ベイトリールはスプール径が小さいので糸に癖がつきやすいのも難点だ。

ドラグをかけながら流して行く
ドラグをかけながら流して行く

 いわば、センターピンの流し釣りは、クロダイの落とし込み釣りやヘチ釣りの横バージョンと考えればよい。あの 釣り方は縦の釣りであり、超前などを除いて遠投することはないが、 小さな負荷の餌と錘を、緩めず張らずのテンションで落とし込んでいくのに、かの片軸リールは最適であるがゆえに未だにあの分野では支配的な使用率を誇って いるのである。 センターピンの流し釣りも同じで、緩めず張らずのテンションで流すにはセンターピン以外に考えられないのである。

 ここでせっかくなのでクロダイの落とし込みリールとセンターピンリールの相違点について考えてみよう。 クロダイの落とし込みはウキも使わずほとんど延べ竿の脈釣りの要領で釣るため、風による糸ふけなどは大敵である。故に、竿も極小のUガイドなどを用いたも のが用いられ、リールについても、できるだけ 風などによる影響を受けないセッティングが好まれる。ラインを上から出す逆巻でのセッティングはそのひとつである。また、リール自体の大きさについてもそ れほど大きなものは必要とされない。 縦の釣りであるからそれほどラインキャパシティは要らないし、無用に大きなリールは風の影響を受けたり、自重を増して感度を悪くする。 一方のセンターピンでの流し釣りは、ウキを用いて長距離を流す為感度よりも自然なラインの送り出しが大きな命題となる。感度は或る程度ウキがカバーしてく れる。スムーズなライン放出が命故に、 使われるロッドはそれほど小さなガイドを有しない。せいぜい、ベイトロッドから磯竿程度のガイドをイメージされると良いかと思う。そして、リールは何より も回転性能が重視され、それはクロダイの落とし込みリールを凌ぐ。糸の撚れやクセは送り出しに支障が出るし、また長距離を流したラインの素早い回収が必要 なため、リール自体もかなり大きなものになっている。4インチ台は普通であるし、それ以上のものも多い。 ラインは通常下から出す通常巻が基本で、これはwallisキャストなどをするためには欠かせないからであるが、やはり一方で風の影響を嫌って逆巻にする 人もいる。

 センターピンリールを初めて使う人は、おそらくそのキャスティング性能の悪さ、難しさに唖然とするだろうが、そもそもセンターピンで遠投は必要な い、あるいは、すべきではないという ことを念頭に置くべきだろう。センターピンでの流し釣りは、近場から探りながらどんどん遠くへとその範囲を広げていく、いわば広がりの釣りであり、私たち が慣れ親しんでいる遠くから引いてくる、 狭まりの釣りとは考え方がまるで逆なのである。

センターピンリールの使い方
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センターピンリールの流し釣り概論
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キャスティングについて
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メリットとデメリット
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